3回爆発しても、彼は4回目のロケットに全財産を賭けた
2008年8月、フロリダ州のクワジェリン環礁。打ち上げ台の上に静止したファルコン1ロケットは、点火から数秒後に再び炎の中へと消えた。3回目の失敗だった。 その日、イーロン・マスクは記者たちの前に現れ、淡々と語った。「SpaceXは続ける」…
マハトマは生まれなかった。南アフリカの列車で、彼は一人の男に戻った。
1893年、夜のピーターマリッツバーグ駅のホームは寒かった。 24歳のモーハンダース・ガンジーは、一等車から引きずり降ろされたばかりだった。理由はただひとつ、肌の色が褐色だったから。弁護士資格を持ち、正規の一等切符を手にしていても、関係な…
29歳の夜、村上春樹はジャズバーの借金を抱えながら小説を書き始めた
1978年の春、神宮球場のスタンドで外野フライが舞い上がった瞬間、村上春樹の中で何かが変わった。彼は後にその感覚を「啓示のようなものだった」と語っている。29歳。ジャズ喫茶「ピーターキャット」のオーナーとして毎日厨房に立ち、深夜まで酒を出し…
カフカは死ぬまで「自分は失敗した」と思っていた
1924年、フランツ・カフカは41歳で死んだ。肺結核だった。喉の病変が悪化し、最後は固形物を飲み込むことすらできなくなっていた。死の床で彼は親友のマックス・ブロートに手紙を送り、自分の未発表の原稿をすべて焼き捨てるよう頼んだ。「The Tr…
音が消えていく中で、ベートーヴェンは書き続けた
1802年秋、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットという小さな村に、31歳のベートーヴェンはひとりこもっていた。医師に勧められての療養だった。理由は耳だ。数年前から始まっていた難聴が、もはや隠しようのない段階に達していた。 作曲家にとって、…
誰も信じなかった二刀流。それでも大谷翔平は曲げなかった。
2013年、岩手の高校を卒業したばかりの少年が、プロ野球界に足を踏み入れた。日本ハムファイターズに入団した大谷翔平は、最初から「投手と打者を両立する」という前例のない挑戦を宣言した。球界の反応は冷淡だった。「どちらかに絞るべきだ」「二兎を追…
国家に命を救われ、国家に命を奪われた男の話
1952年、イギリス。アラン・チューリングは自宅への侵入被害を警察に届け出た。その結果、彼自身が逮捕された。 容疑は「重大な猥褻行為」。当時のイギリスでは、同性愛は犯罪だった。チューリングはわずか8年前、ナチス・ドイツの暗号機「エニグマ」…
父は息子を「失敗作」と信じたまま死んだ
1902年、ベルン。アルベルト・アインシュタインは特許局の小さな机に座り、他人の発明品の書類を一枚一枚めくっていた。26歳だった。チューリッヒ工科大学を卒業してから、もう数年が経つ。 大学を出た後、彼は教職の口を探し続けた。しかし、どの大…
トヨタに笑われた男が、世界を走った
1938年。本田宗一郎は浜松の小さな工場で、ほぼ独力でピストンリングを削り続けていた。設計図はある。情熱もある。しかし彼には正規の工学教育がなかった。旋盤の前に立ち、試作品を作っては壊し、また作る。その繰り返しだった。 完成したピストンリ…
ハーバードを捨てた男が、眠れない夜を積み重ねた話
1974年の冬、ビル・ゲイツはハーバード大学の寮の一室にいた。窓の外はマサチューセッツの凍てついた夜。彼はコンピュータ雑誌に載った小さな記事を手に、ある確信を持っていた。「これを逃したら、もう二度とない」。その確信だけを抱えて、彼は世界でも…
30歳で自分の会社を追われた男が、12年後に何を持ち帰ったか
1985年の秋、スティーブ・ジョブズは自分が立ち上げた会社の取締役会によって、事実上の追放を言い渡された。30歳だった。 父親のガレージから始めたAppleは、すでに世界が注目する企業になっていた。マッキントッシュは時代を変えるコンピュー…